地域貢献

神社屋根塗装・アク洗い【中川村 上宮外縣神社様】

2010年9月17日

ウォースペイントは2010年8月、同年の御柱祭で「三の柱」を奉納した中川村上宮外縣神社の屋根塗装工事を施工させていただきました。

同神社は建御名方命を祭神とし、1658年に諏訪大社から下された御符(みふ)が現存するほどの古い歴史があります。明治45年の火災で随神門を除くすべての建物を焼失し、現在の社殿は昭和15年に地元出身の塩沢幸一海軍大将の寄付によって再建されました。

現在のカラー鋼板屋根は平成3年に葺き替えられたもので、今回の塗装はそれ以来19年ぶりの工事となります。

御柱奉納がご縁で本殿上屋と拝殿の屋根塗装を発注いただき、社内で検討した結果「せっかくなら」と社殿木部のアク洗いと、随神門や境内社の屋根塗装を「寄進工事」として行わせていただくことになりました。

初日の安全祈願祭には氏子総代の皆さんや当社専務・工事部長ら11人が出席。神主様のお祓いや祝詞奏上、玉串奉奠、宮清めなどが行われました。
祝詞奏上 宮清め 工期説明

その後さっそく足場設営と洗浄作業。
屋根に上って鋼板の表面を手でこすってみると、劣化した塗料が茶色い粉となって付着します。19年も経過すれば当然のこと。

足場設営 チョーク現象 洗浄

粉の吹いた屋根はとてもすべりやすいうえに、通常の民家よりも勾配がきついので、プロの職人も慎重に作業を進めます。

2日目から下塗り作業に入りました。

チョコレート色のプライマー(下地剤)を塗ることにより、錆の発生を防ぐとともに上塗り塗料との接着性を強めます。

硬化剤添加、攪拌 下塗り開始 高所での慎重な作業

プライマーには硬化剤を加えます。これには主剤の強度を高める役割があり、塗料の乾燥を化学的に速めることから作業の効率化も実現します。

板の四隅はハケでていねいに、中央部はローラーで手早く、が基本です。

3日目、神殿上屋および拝殿の下塗り処理が完了し、中塗りの工程が始まりました。
使用する塗料は耐久性のあるシリコン系で、色は落ち着きのあるカカオブラウン。

細部のハケ入れ 板の隅から塗り始める 足場を渡して大棟も

中塗り、上塗りと同じ塗料を2回塗り重ねることでムラのない美しい屋根に仕上がります。
中塗り完了の段階でもすでに美しいつやがまぶしいほどですが、再度塗り重ねることで経年による耐久性の違いに差が出てきます。

中塗り完了 上塗り作業 上塗り完了

一方、随神門や境内社の屋根塗装も始まりました。
こちらはウォースペイントからの寄進として行うものです。

施工前の境内社 ケレン作業 ケレン完了

古い塗料がまるで乾いたコケのようにめくれあがり、拝殿などよりもひどいありさま。これは下地処理をしないまま塗った証拠です。木の陰になっている部分は本物のコケまで生えていました。
ディスクサンダーでこれを削り落とすと右上写真のようにサッパリ。今回はきちんと3度塗りで仕上げます。

境内社の下塗り完了 境内社の中塗り途中 上塗り完了

明治時代の火災で唯一焼失を免れた随神門もすっかり美しくなりました。
施工前と施工後の屋根の違いをご覧下さい。

随神門の屋根塗装完了 施工前の門屋根 施工後の門屋根

本殿上屋および拝殿の外壁アク洗い作業です。
塩素系の薬品を散布し、翌日洗い流すことで、70年の歳月で板壁に染み付いた黒ずみをきれいに洗い落とします。
作業は専用の防護服を着用して行います。

防護服を着用 塩素系の薬品を散布 上下で違いがハッキリ

施工後と施工前の違いは一目瞭然。強引な漂白ではなく、木造社殿の落ち着きを保ったまま建立当初の美しさを取り戻しました。

施工前 施工後
施工前 施工後

足場を撤去し、クリヤー材の塗布、現場の清掃を行って作業完了です。
使用したクリヤーは「ノンロット205N」という、塗膜を作らず通気性を保ったまま木を保護できる高級塗料。
防水、撥水、防腐、防菌、防虫、さらに紫外線を防ぐ効果もあります。
透明なので、塗っても色や風合いがまったく変わりません。

クリヤー塗布 金具も塗装 犬走りを水洗い

施工面積は屋根、外壁それぞれ約400平方メートルという大掛かりな工事が無事終了。

70年ぶりに社殿再建当時の姿が蘇ったことを地元の皆さんに知っていただこうと、地元新聞を招いて説明会を行いました。
中日新聞、長野日報、エコーシティー・駒ケ岳(CATV)の3社に対し、弊社担当者が工事の経過をご説明しました。

記者各位にご説明 長野日報記事(9月7日)

9月5日、工事完了にともなう引渡し式と直会が行われました。

注連縄の飾りつけ 神前にて引渡し式 完成を祝って乾杯
【施工前】 【施工後】
藤川豪将総代長様のお話「神社の屋根塗装は6年前の御柱祭当時から検討課題で、今年はなんとしてもやりたいと思っていました。
ウォースペイントさんには、御柱のご縁で本体工事よりも寄付工事の方が大きくなるほどやっていただいて、とても感謝しています。
屋根も壁も見違えるようにきれいに生まれ変わってありがたいですね」

我々ウォースペイント社員一同も、上宮外縣神社の氏子の一員のような気持ちになれました。大変ありがとうございました。